感想
概要
時間生物学に関する本
良いパフォーマンスで行動するにはどのように行うかではなく、いつ行うかのタイミングが大事であり、パフォーマンスは人間の性質に基づいているとのこと
章別
1. 一日の流れと休憩のタイミング
人の一日にはリズムがあり、 一般的な朝起きて夜寝る人は、午前中に分析的作業、集中しておこなう作業や意思決定のパフォーマンスがよくなる
また午後になると、洞察的作業、ひらめきみたいなのを必要とする作業のパフォーマンスが良くなる。要はしばらく活動してからのほうが活発になる
仮眠をとるなど、適切なタイミングで休憩をいれることで、意思決定など、パフォーマンスが回復したりする
タイミングによって向いている作業があるようだ
2. 始めるとき
スタートするタイミングの問題。学校の始業時間が早すぎることで、朝型でない人(学生くらいの年代は基本夜型らしい)は、よいパフォーマンスが得られず落ちこぼれる。不景気のときに就職(社会人としてのキャリアをスタートする)と好景気のときと比べて障害賃金が下がるなど、初期値によって、その後の人生に影響を及ぼすことがある。これは複雑系における振る舞いと似ている
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人生のパターンがそもそも単純でないし、複雑系と同じように扱っていいかわからないところがある気がする
コントロールできるものはできる社会になるといいなと思った
3. 中間地点
ものごとの中間地点におけるモチベーション。中だるみが起こる、中盤でうまく立て直せるように、中間目標を立てたりするとある程度防ぐことができる
4. 終わり付近
終了、区切り地点におけるモチベーション。十代最後など、ある意味での終わりにおいて何かを始めたり張り切ったりすることがある
また、人間は物語の終わり部分が意識に残りやすく、ハッピーエンドであれば、良い評価を、バッドエンドであれば悪い評価を下しがち。『終了のもたらすエンコード効果』と表現している
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物語(もしくは経験)に対して、終わり部分のみフォーカスしてエンコードするという意味だろうか。旅などのときに最後にいい経験ができるように設定しておくとより良い思い出として残るかもしれない
5. 集団、組織でのパフォーマンス
集団がよく機能するタイミングについて。ボス、仲間、ハートが大事とある
集団における統率のために目的や基準を設定して維持するために取りまとめ役となるボスの存在が重要
仲間というのは集団への帰属意識のことで、同じような境遇、共通認識があると、チームとして合わせ易くなり、パフォーマンスがよくなるとある
ハートとは息を合わせることであり、協調してシンクロナイズするように行動することでパフォーマンスが良くなる、また身体的にも社会性の面でも良い効果があるようだ
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これはパフォーマンス面ではメリットになるが、同調圧力による同一化、仲間意識による他集団との壁が発生しそうなので一概に良いともいえないな、と思った
また、時間生物学的な部分から組織の周期、タイミングを論じているのは面白かった。
人間における体内時計のずれ(24 時間より長いので自然にずれていく)は外部要因(ツァイトゲーバーという。例えば始業時間)に合わせて行動する(エントレインメントと呼ぶ。例えば、睡眠を取るなど)ことで、半ば強制的に調整、修正している。
これは集団、組織においても出てくるとしており、製品開発やマーケティングなどの企業活動サイクルは、もしかしたら販売サイクル、社員のキャリアステージにより外部的にタイミングや期間が調整されるかもしれない。
このような要因に対してタイミングを合わせるための外部刺激として、ボスによる指示が必要になるとしている。
6. 時間についての考察
時間(time)というのはいろいろな意味がある。時刻の意味(JST とか)、経験(it is the second time I came here)、他にも様々な表現を表す。
全体の感想
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いくつかの用語の定義が曖昧だった気がする。「エンコード」効果など
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体内時計とか生物的な特徴を見ていくかと思ったが、どちらかというと人間の社会生活についてフォーカスしていた。
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個人が自覚する「集中している」とかは、本当に当てはまるのだろうか。個人的に集中しているかどうかの判断ができないからそう思うだけかもしれない(ミスの発生頻度等でデータが出ているからそうなのだろうが)